無脊椎動物で観る“骨の伊藤”コレクション 【軟体動物編】

2024-12-31

Sayaka🦕 WB見学記

t f B! P L
アメリカオオアカイカの嘴 とても大きい。

伊藤師匠といえば骨。
WBにある標本の大半は脊椎動物です。

今回はそんな環境の収蔵庫からあえて無脊椎動物を引っ張り出して紹介してみようというちょっと変わった趣向の記事です。

ある意味これこそが『WB化石生物研究会』でしか観られない珠玉のコレクションかもしれません。

【軟体動物編】をぜひご堪能ください。

アンモライト

虹色に輝くアンモライト。 岩の塊のように大きい。 青みがかった部分が多い。
アンモライト

まずはアンモライトです。
ペンダントトップのような小さくて薄いものではありません。
こんなにもゴロッとしたものを手にとって間近で観たり写真を撮ったりというのはなかなか無いことです。

重量もあって扱いに緊張が走ります。

アメリカのツーソンでいただいたアンモライト。緑色の面が多い塊。
アンモライト

こちらのアンモライトは師匠の覚え書きも同封されていました。
ツーソンでカナダフォッシルのピエールさんより2010年に入手したものだそうです。

アンモナイト類

半分にカットされたアンモナイトの化石 内部構造が観察しやすい。
アンモナイト類

半分にカットされたアンモナイト化石 成分の置き換わりで結晶化が確認できる
アンモナイト類

アンモナイト類の糞の化石 コイル状に巻いているのが特徴
アンモナイト類のコプロライト

学名未検証標本を含むのでアンモナイト類としておきます。
アンモナイト類はハーフカットがいくつかあり、コプロライトもコレクションに入っていました。
コプロライトは2022年の第31回東京ミネラルショーで入手したという覚え書きが同封されていました。

オパール化ベレムナイト

イカの仲間で細長い殻を持つベレムナイト。 成分が置き変わってオパールになったもの。青色が美しい。
オパール化したベレムナイト

時代は白亜紀。オーストラリア産のオパール化ベレムナイトで2017年にツーソンで入手したことを示す覚え書きが同封されていました。

母岩付きというのが良いですね。

プラティケラス

腹足類(巻貝の仲間)のプラティケラス
プラティケラス

パッと見ではアンモナイトかと思いましたが違うようですね。
腹足類の仲間らしい。
時代はシルル紀だそうです。

ブログを書きながら過去の写真を見返していたら群馬県立自然史博物館にも展示があったので合わせて載せておきます。

群馬県立自然史博物館にあるプラティケラスの展示。 オウムガイ、巻貝、二枚貝のイラストで内部構造を示している。
プラティケラスの展示と軟体動物類の解説(群馬県立自然史博物館常設展示より)

アメリカオオアカイカ

左側にスルメイカ、右側にアメリカオオアカイカを並べた。スルメイカのカラストンビは指先に乗る程度、アメリカオオアカイカのカラストンビは手のひらからはみ出すほどに大きい。
アメリカオオアカイカのカラストンビ

これはこの日観た師匠のコレクションの中でもかなり衝撃的でした。
スルメイカのカラストンビと並べてみるとその大きさは一目瞭然。

手に持ってみたり後ろから撮ってみたりもしました。

アメリカオオアカイカのカラストンビを後方から観る
後方から撮影したカラストンビ

力の入れ具合によっては簡単に崩れてしまいそうな危うさもありましたが、WBに来なければ知り得なかったことをたくさん感じ取れたような気がします。
2010年ジョージさんからのプレゼントとのこと。

イカの吸盤

イカの吸盤 リング状の構造の内側には鋭い歯のようなものがある。
イカの吸盤

初見ではトラバサミのような印象をもったこちらの標本。
正体はイカの吸盤でした。

「タコは吸い付くように吸盤を使い、イカはこのギザギザの部分で噛みつくような使い方をする」

頭足類と一口に言っても面白いほどに違いがあってとても興味深く思いました。

メンダコの封入標本

樹脂を流し入れてメンダコをその中に保存した標本。
メンダコの封入標本

私が初めてWBを訪れたときにも観ましたが、今回改めて観ることができました。

どうやったらこんなにも綺麗に封入できるのか。
謎の多い標本です。

師匠が手に入れたときから封が切られていません。(2015年入手、ヤフオク)

「封は開けないでくれ」とのことなので撮影は封の上から撮影しました。

これもかなり貴重です。

まとめ

今回の記事は伊藤師匠の無脊椎動物コレクションから軟体動物をいくつか観てきました。

爬虫類・鳥類・哺乳類をはじめ、堂々たる「T」のつく神様までもが鎮座するWB。

脊椎動物の標本たちだけではなく、無脊椎動物の標本たちも面白い「知」を与えてくれるというのが弟子としてとてもありがたい学びの場になっています。

ここまで書いてきましたが、実のところ無脊椎動物の標本箱はWBにまだあります。

“骨の伊藤”師匠のせっかくの無脊椎動物コレクションなので機会があればどんどん引っ張り出して紹介していければと思います。

【軟体動物編】は以上で終わります。




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