今回の記事はWBで観察した標本の紹介。
テーマは「トリケラトプスの歯」です。
今回の目的
トリケラトプスの歯は特徴的で複雑です。
どの面がすり減るのか、その歯は上顎歯なのか下顎歯なのか。
一度や二度の説明で理解するのは私にとって難しいことでした。
「ミネラルショーでトリケラトプスの歯の化石を販売している業者でもその歯の位置までは把握していない」
それであるなら自分で見分けられるようになったら面白いのではないかと思い、師匠にお願いして今回のテーマが決定しました。
標本の観察
トリケラトプスの歯に関しては師匠から教えていただく機会が今までもあったので座学はそこそこにして観察から入ります。
トリケラトプスの上顎歯
伊藤師匠所蔵のレプリカ。
とても質の良い樹脂を使ったものだそうです。
一般的に販売されているトリケラトプスの歯のレプリカは下顎歯が多いそうなので、上顎歯のレプリカは比較的珍しいのだとか。
上顎歯は下顎歯と比較すると歯冠部のリッジが控えめです。
また、舌側がすり減る面(咬耗面)になるのでリッジがある面は頬側に来ます。
ここからの話は「見分けるための可能性」の域を出ないのですが、1例として面白い見方もできるそう。
歯冠部を観察するとリッジの左右の幅に違いがあることがわかります。
この幅の違いから、歯の近心(前方)と遠心(後方)が推測できるかもしれないというのです。
上顎歯では幅が広いほうが近心になる可能性があり、今までは「わからない」で終わっていたことに対しても深く観察する楽しみがうまれるような気がしています。
トリケラトプスの下顎歯
こちらは実物化石です。
歯根は基部しか確認できませんが、歯冠部のリッジが大きく突出していることがわかります。
下顎歯は頬側が咬耗面になっています。
そのためリッジのある面も上顎歯とは反対で舌側にあります。
先ほどの1例を下顎歯で観てみるとリッジの左右の幅は狭い方が近心、広いほうは遠心になる可能性があるようです。
まとめ
『歯の形状を意識しながら観る。』
師匠と出会っていなければ私は歯の形状には意識を向けることもなく、ただ漠然と見ていたはずです。
来年のミネラルショーに行くときには販売されているトリケラトプスの歯も形状に注目しながらまわりたいものですね。
WB見学記、「トリケラトプスの歯」は以上で終わります。
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