ツーソンミネラルショーのお土産標本

2025-02-25

Sayaka🦕 WB見学記

t f B! P L
お土産の標本。三葉虫やヴェロキラプトル、その他冊子など
2025年2月16日に開催されたWB見学会(参加者3名)、今回の私のテーマは主に2つ。 

1つ目はツーソン帰りの伊藤師匠が用意してくださった標本の観察です。

2つ目のテーマはオウムガイの観察と写真撮影・データ整理です。
これは前回の【軟体動物編】で紹介ができなかったので、詳しく観ていきたい気持ちがありました。まぁ、なんやかんやあって標本整理を黙々と遂行する日になったのですが。

上記の2つのうち、今回は1つ目のテーマを「WB見学記」としてまとめていきます。

WB、ツーソン選りすぐりの見本市 

師匠が用意してくださったのは以下5つ。

・アンモライト 
・琥珀(白亜紀・羽毛入り) 
Velociraptor趾骨レプリカ 
Aepyornisの卵殻
・三葉虫(フェイク品)

どの標本も弟子のツボを押さえた一品。 
しかもただのコレクションにとどまることなく、その先の学びを見据えたチョイスをしてくださっていたことに私は感激しているところです。

この中から特に気になったVelociraptor趾骨レプリカと三葉虫(フェイク品)について解説していきます。

Velociraptor 趾骨レプリカ 

ヴェロキラプトルの足の指の骨。
Velociraptor趾骨レプリカ

これは精巧な標本というよりも教育用の意味合いが大きいようです。 
しかしこれがとても良い。
3つの骨からなり、関節面を意識して組み立ててみたり各パーツの可動域を直感的にイメージできたりとメリットが満載。
 
レプリカを並べた様子
並べてみました

博物館の展示をみたりブログの執筆をしたりする際に大きなヒントや気づきをもたらしてくれることでしょう。
師匠も弟子の成長やWB化石生物研究会の発展を見越して選んでくださったようで、ますます学習に力を入れていきたいと思いました。

三葉虫(フェイク品) 

偽物と思われる三葉虫
フェイクと思われる三葉虫

最近は新宿ショーでも池袋ショーでも三葉虫化石ばかり収集している私。
三葉虫はコレクターも多く、フェイク品もかなり出回っているということを幾度となく師匠から聞いていました。
そこでツーソン滞在中の師匠から送られてきたのがフェイク三葉虫の画像でした。 

「これをSayakaさんに」と言っていただき、これは舞い上がりましたね。 
WB見学の日に師匠から受け取り、家に帰ってからは改めてフェイク三葉虫の特徴や出回っている理由などを調べつつ、塗装落としを試みたりブラックライトの反応を確認してみたりしました。

この三葉虫でいろいろなことを試してみたので、その様子を続けて書いていきたいと思います。

フェイク三葉虫の検証 

この三葉虫がフェイクである可能性を感じる理由はいくつかあります。 
複眼が確認できないこと、目立つ傷がほとんどないこと、不自然なほどに安すぎることなどです。

見た感じだとMetacanthinaという三葉虫だと思うのですが、それであるなら疑念はますます強まるばかりです。 

まずはネイルリムーバー(除光液)を使って表面の色に変化が見られるのかを試しました。 

塗装落としの準備

検証準備中の様子 ブラックライトと綿棒、リムーバーが置かれています。
検証準備中の様子

 塗装落としはネイルリムーバーを綿棒に染み込ませて三葉虫本体を擦って確かめます。
 作業前に新聞紙を敷いてゴム手袋を装着します。

側葉の変化

右側のみ擦った側葉。白っぽい色が見える。
側葉の変化(右側のみ擦っています)
 
側葉を擦った綿棒。塗装の黒色が移ってきた。
側葉(右側)を擦った綿棒

手始めに右の側葉を擦ってみるとすぐに色が落ちてきました。
擦っていない左の側葉と比較するとわかりやすいです。

綿棒も黒くなったので塗装が剥がれたと言えるのではないでしょうか。

複眼の変化 

次に試みるのは複眼の部分です。
正直、私が最も驚いたのが複眼でした。
側葉では何往復か擦ったのですが、複眼は違いました。
本当に軽く撫でるだけでスルッと塗装が落ちたのです。
 
塗装が剥がれ落ちて白くなった複眼。
簡単に塗装が剥がれた複眼

複眼を擦った綿棒
複眼を擦った綿棒

こんなにも簡単に変化が見えると検証がますます面白くなってきます笑
綿棒の色のつき方を見ると側葉よりも容易に落とせたことがわかります。

そして驚いたことに塗装が剥がれたところからはポツポツと細かい点が現れました。
おそらくは複眼を再現したかったのでしょう。
作者の頑張りが感じられます😂

しかし、塗装を重ねることでその頑張りを潰してしまったのはもったいない笑

フェイク品が出回ることはコレクターとしては歓迎できませんが、ここまでくるとフェイク品の作者が不憫にも思えてきます。 

母岩との接地部分の変化

三葉虫本体と母岩の境目を確認している。
母岩と三葉虫本体の境目を試しています

母岩と接地している部分も擦ってみることに。 
体感では複眼や側葉よりは落ちにくい印象を受けました。

しかし母岩の色と同じ色が接地部分のキワにも現れたので、もともとは三葉虫本体も母岩と同じ色をしていたことがわかりました。

ブラックライトの反応

変化が見られない三葉虫
ブラックライト照射(検証対象の三葉虫)

最後はブラックライトで照らした際の反応を確認してみます。
ブラックライトを照射してみたところ、特にこれといった反応は見られず、三葉虫本体にも母岩にも亀裂がありませんでした。
フェイクでないのなら修復作業の際に使用する接着剤が反応しても良いと思ったのですが、やはり修復の痕跡がどこにも見当たりません。 

次に比較のために2024年の池袋ショーで購入した実物のPsychopygeも試してみましたが、こちらはくっきりと亀裂が走っていることが確認できました。
 
フェイクと違い、修復部分が青白く光る実物の化石。
ブラックライト照射(比較用Psychopyge)

違いは歴然ですね。 

上記のネイルリムーバーによる検証とブラックライト照射による検証を踏まえると、この三葉虫がフェイク品であることが実証できたと言えるのではないでしょうか。

偽物を偽物と見分けられるようになってほしいという師匠の気持ち、しかと受け止めさせていただきました。

まとめ

標本を手に取って観察するのは楽しいですね。
私はVelociraptorの趾骨レプリカと三葉虫のフェイク品をチョイス。
特に三葉虫はさまざまな検証することでとても面白い発見があったと思っています。

ちなみに、今回のブログのサムネイル画像に写っているのはTroodonの卵殻です。
同日に師匠からいただいた標本ですが、今回のツーソンのものではないので紹介は割愛しました。
画像だけここに載せておきます。
 
トロオドンの卵の殻の化石の一部。
Troodonの卵殻

今回、一緒にWBを訪れた鈴木さんとKasaneさんもそれぞれ違う標本を選んでいたのでどこかのタイミングで記事にしてくれることでしょう。

私はというと、もう1つのテーマ「オウムガイの標本整理」を執筆の時間が取れるときにまとめていく予定です。

WB見学記、「ツーソンミネラルショーのお土産標本」は以上で終わります。

QooQ