【長野市立博物館】長野にセイウチがいた!

2026-08-12

Sayaka🦕 博物館見学記

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2026年8月8日、長野市立博物館を訪問しました。
展示の様子をまとめたいと思います。

プロローグ

最初にプロローグとして展示されていたのはオントケトゥスの中条標本の複製と新町標本の複製です。

中条標本(複製)
新町標本(複製)クリーニング前
新町標本(複製)クリーニング後

合わせて発見時の様子を伝えた1995年の新聞記事も紹介されていました。
(新聞記事は撮影NG)

海と陸を生きる 鰭脚類の世界

第1章は現生鰭脚類の剥製や骨格を用いて体の特徴を解説しています。

アザラシの後肢
ミナミアフリカオットセイの後肢
セイウチの後肢

並んで展示されているとそれぞれの違いがわかりやすいです。

陸から海へ 鰭脚類の進化

第2章は鰭脚類の進化の歴史を化石とともに紹介しています。
ここでは見覚えのある化石がパネルで展示されています。

ポタモテリウムです。

ポタモテリウムの骨格と復元図

骨格の方は群馬県立自然史博物館の常設展示ですね。
復元画は初めてみましたが、こんな可愛らしい姿になるとは。

そして、こちらは約1800万年前のエナリアルクトス亜科の一種です。

エナリアルクトス亜科の一種

後の鰭脚類に共通する原始的な特徴を持っていて、水性適応が進んでいたことがわかっているそうです。

セイウチの進化と「オントケトゥス」

第3章はセイウチに焦点を当てた展示です。

トウベツムラモトセイウチ

約1000万年前のセイウチの仲間。
現生のセイウチよりも頭蓋が全体的に扁平に見えます。

プロトドベヌス

約500万年前のセイウチの仲間。
トウベツムラモトセイウチよりも頭蓋に厚みがあり、現生のセイウチに近い感じがします。

オントケトゥス

オントケトゥスも約500万年前のセイウチの仲間だそうです。
化石のクリーニングの際には前後の位置関係がわからなくなることを危惧し、先に複製を作成したり空隙に詰め物をしたりと様々な工夫が施されたのだとか。

中条標本の犬歯(複製)

中条標本の犬歯は重さを体感できる展示もありました。
オントケトゥスの犬歯は現生のセイウチと比べると短い印象を受けます。

この差は頭蓋の長さと犬歯がのびる方向の違いによって生み出されているのではないかと考えられるようです。

同日行われた講演会で甲能先生がおっしゃっていました。

絶滅したもうひとつの鰭脚類「アロデスムス」

第4章はデスマトフォカ科のアッロデスムスの展示です。

鰭脚類はアシカ科、アザラシ科、セイウチ科の3グループに分けられますが、デスマトフォカ科は約1000万年前頃には姿を消しました。

ホロタイプ標本
平置き標本
交連骨格標本

この展示ではホロタイプ標本あり、平置き展示あり、交連骨格標本ありで観覧者の注目を集めていました。

群馬県立自然史博物館には部分化石のキャストが常設されていますが、交連骨格標本は初めて観ました。
思いのほか大きく、驚きでした。

なぜ長野で鰭脚類の化石が見つかるのか

鰭脚類が見つかる地域は「北部フォッサマグナ」と呼ばれ、かつて海だった時代の地層が分布しています。
第5章では北部フォッサマグナに広がる地層から見つかる鰭脚類以外の化石を取り上げています。

貝類など
サメ類
シンシュウセミクジラ

変わりゆく海と鰭脚類の未来

第6章は鰭脚類が乱獲によって数を減らしていることや地球温暖化、漁業との関わりなどの展示がされていました。

人間活動が鰭脚類や地球環境に及ぼしている影響力をうかがうことができます。

オットセイの毛皮
トドと漁業の課題
ニホンアシカ

ニホンアシカは乱獲や繁殖地の環境悪化などが重なり、生息数が急激に減少しました。
1974年を最後に記録が確認されていないことから現在は絶滅したと考えられているようです。

最後に

この展示は鰭脚類のグループの特徴を紹介し、環境変化に適応してきた歩みをみせるものでした。
メインビジュアルを見るに分類・進化の紹介にとどまるものと思っていましたが、人間活動が生き物や環境に及ぼす影響にまで切り込んでいて、個人的には少し意外性を感じました。

甲能先生の公演会で鰭脚類の研究史を学びつつ、展示では海や生き物に想いを巡らせることもできる特別展でした。

博物館見学記「長野にセイウチがいた!」は以上で終わります。

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